爪研いでいいの?
牛柄の猫がこちらに寄ってきて、ご飯を出せ徒の要求がなんだかうやむやになってほっとしていたのだが、鳴いても脅してもご飯は出てこないらしいと悟った猫たちは、あっという間に三々五々思い思いに散っていった。
先ほど境内の隙間から眼光鋭くにらみをきかせていた猫は、とことこと境内を横切ると、お地蔵様の並ぶ屋根の下へと歩いていった。
日陰なのに寒くないのかと見ていたら、日なたぼっこが目的ではなかったらしい。
ひょいと立ち上がって柱の前に立つと、がりがりと爪を研ぎ始めた。
当たり前のように、あまりに自然な振る舞いで爪を研ぐ様子にうっかり見ていたのだけれど、お地蔵様のための屋根の柱で爪を研いでもいいのだろうか。
罰が当たるんじゃと、我に返って慌ててしまった。